「目薬をさしてもすぐ疲れる」「スクリーンから離れても目の奥が重い」——そう感じたことはありませんか。実は眼精疲労の本当の原因は、目の表面ではなく眼球の内部にあります。そして目薬はそこまで届きません。
眼精疲労を起こしているのは、どの筋肉か
眼精疲労の多くは、毛様体筋(もうようたいきん)という筋肉が原因です。眼球の内部にある輪状の平滑筋で、水晶体の厚みを調節してピントを合わせる役割を担っています。
近くを見るとき——スマホやパソコンの画面を見るとき——毛様体筋は収縮しています。遠くを見るときだけ弛緩します。現代の生活では、この筋肉はほぼ一日中収縮したままです。
毛様体筋で何が起きているか
毛様体筋が収縮し続けると、毛様体動脈が圧迫され、血流が低下します。血液が届かなくなった筋肉は弛緩できなくなります。これを調節緊張(accommodative spasm)といいます。
鍼を刺すと、何が起きるか
眼周囲のツボ(睛明・攢竹・太陽など)に鍼を刺すと、眼動脈(ophthalmic artery)の血流が回復します。この血流は毛様体動脈まで届き、虚血状態にあった毛様体筋がほぐれます。
鍼治療後に「視界が明るくなった」「目の奥がすっとした」と感じるのは、これが理由です。目を閉じて休んだだけでは起きない変化——血流の回復です。
カラードプラ法(超音波血流測定)を用いた研究では、眼周囲への鍼治療後に眼動脈の血流速度が増加することが確認されています。
目薬では届かない理由
目薬は毎日さしているのになぜ根本的に改善しないのか——それは届く場所が違うからです。
目薬(人工涙液・調節弛緩薬)の成分が届くのは角膜と結膜の表層だけです。眼球の内部、毛様体筋まで浸透する目薬は存在しません。目の乾きには有効ですが、疲れの根本である毛様体筋の虚血には作用しません。
セルフケアでできること
毛様体筋を弛緩させる唯一のセルフケアは、遠くを見ることです。遠くにピントが合うとき、毛様体筋は弛緩しています。これを意識的・定期的に行うのが「20-20-20ルール」です。
- 20-20-20ルールを習慣にする——20分ごとに6m先を20秒見てリセット
- 蒸しタオルを目の上に5分乗せる(温罨法)——眼周囲の血流を一時的に改善
- モニターを目線より少し下に設置する——上方視は目が乾燥しやすく毛様体筋に負担
Kurusu M, et al. Acupuncture effects on visual function and ophthalmic blood flow. 全日本鍼灸学会誌(日本の臨床研究).
American Optometric Association. (2016). Computer vision syndrome. Optometric Clinical Practice Guideline.
「目薬をさしても翌日には戻る」「目の奥の重さがずっと続く」という方は
毛様体筋の血流を直接改善する鍼灸が根本的な解決につながります。