「頭痛薬を飲んでも根本から治らない」「首の付け根からじわじわ頭が痛む」——こうした頭痛の多くは、鎮痛剤が届かない深い場所にある小さな筋肉が原因です。問題の筋肉は、頭蓋骨の真下に潜む後頭下筋群(こうとうかきんぐん)。ここが硬くなると大後頭神経が圧迫され、頭全体に痛みが広がります。

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問題の筋肉はどこにあるか

後頭下筋群の解剖図:後頭骨と頸椎をつなぐ4対の深部筋肉

後頭下筋群は後頭骨と頸椎第1・2番をつなぐ4対の深部筋肉(大後頭直筋・小後頭直筋・上頭斜筋・下頭斜筋)です。頭の細かい位置調整と安定を担います。

デスクワークやスマートフォンで頭が前に出ると、この筋肉は頭の重さ(平均4〜5kg)を常に支え続け、慢性的な過緊張に陥ります。指では直接触れられない深さにあります。

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後頭下筋群で何が起きているか

後頭下筋群が持続的に収縮すると、筋肉内の毛細血管が圧迫されて血流が低下します。酸素・栄養不足になった筋肉は硬くなり、その中を通る大後頭神経(後頭部〜頭頂に走る感覚神経)を圧迫します。

後頭下筋群から頭痛が起きるまでの流れ
STEP 1
頭が前に出る姿勢(フォワードヘッドポスチャー)
頭が1cm前に出るごとに後頭下筋群への負荷は約2〜3倍に増加する
STEP 2
後頭下筋群の持続的緊張と虚血
筋肉内圧が上昇し毛細血管への血流が低下。酸素・栄養不足が起きる
STEP 3
大後頭神経の圧迫
硬くなった筋肉が神経を締め付け、後頭部〜頭頂に鈍痛が生じる
STEP 4
頭痛の慢性化
神経圧迫が続くことで痛みが常態化し薬が効きにくくなる
後頭下筋群の緊張は、首を動かしても緩みません。表層の筋肉が動いても、深部4筋は独自のユニットとして作動し続けます。
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鍼を刺すと何が起きるか

後頭下筋群への鍼:深さ20〜30mmで血流を回復させる

後頭下筋群は皮膚から20〜30mmの深さにあります。鍼はこの深さまで正確に到達し、筋肉の内部に直接作用します。

鍼を受けた筋肉は血流が回復し、柔らかくなります。硬化した組織が緩むことで大後頭神経への圧迫が解除され、頭痛が軽減します。マッサージの圧では届かない深さに、鍼は直接作用します。

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マッサージが届かない理由

首肩を揉んでも頭痛が取れない理由は、マッサージの圧力が後頭下筋群の深さ(20〜30mm)に届かないからです。指や手掌の圧力は表層筋で吸収され、目的の筋肉に到達する前に減衰します。

マッサージと鍼の到達深度の比較図
マッサージの圧力は表層筋止まり。後頭下筋群には鍼でしか届かない

頭痛薬はその場の痛みを抑えますが、筋肉の硬さ自体は変えません。根本にある後頭下筋群の緊張が残る限り、薬の効果が切れると頭痛は戻ります。

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セルフケア:後頭部の血流を保つ習慣

後頭下筋群のセルフケアは、強く揉むより頭の位置を変えることが有効です。「頭が前に出た姿勢」の改善が最優先です。

後頭下筋群のセルフケア:チンタック運動とタオルリリース
チンタック(顎引き)運動とタオルを使った後頭部リリース
✦ セルフケア 3つのポイント
  • チンタック運動:顎を真後ろに引いて5秒キープ×10回。画面を見る前後に行うと効果的
  • タオルリリース:丸めたタオルを後頭骨の下に置いて仰向け3〜5分。重力で後頭下筋群が緩む
  • モニターの高さを合わせる:画面上端が目線の高さになるよう調整し、頭が前に出る姿勢を予防する

よくある質問

頭痛薬を飲んでも効かない時はどうすればいいですか?
頭痛薬は神経の炎症を抑えますが、後頭下筋群の緊張そのものには作用しません。薬が効きにくい場合は筋肉に直接アプローチする方法があり、鍼はその手段のひとつです。
後頭部の頭痛と偏頭痛は違いますか?
後頭下筋群が原因の頭痛は「緊張型頭痛」で、後頭部〜頭頂に鈍い締め付け感として現れます。拍動する痛みや光過敏を伴う場合は偏頭痛の可能性があり、医療機関での診断をお勧めします。
鍼は何回くらい受けると効果が出ますか?
3〜5回で変化を感じはじめる方もいます。長年の慢性頭痛は継続的なアプローチが必要なため、月2回程度のペースをご案内しています。感じ方には個人差があります。
デスクワーク中にできることはありますか?
1時間ごとにチンタック(顎を後ろに引く動作)を10回行うと、後頭下筋群への負荷を減らせます。モニターの高さを目線に合わせることも姿勢の助けになります。
参考文献
Bogduk N. (1992). The anatomical basis for cervicogenic headache. Journal of Manipulative and Physiological Therapeutics, 15(1), 67–70.
Fernández-de-las-Peñas C, et al. (2007). Referred pain from muscle trigger points in the dorsal neck and head muscles. Journal of Pain, 8(6), 441–447.
Simons DG, Travell JG, Simons LS. (1999). Myofascial Pain and Dysfunction: The Trigger Point Manual. Vol.1, 2nd ed. Williams & Wilkins.

後頭下筋群へのアプローチは、表面からでは届きません。Calmでは深部の筋肉に直接働きかける鍼灸施術で、慢性頭痛の根本原因にアプローチします。

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